鍵が外れたのを確認すると、きみは震える手で宝箱の蓋をそっと持ち上げた。 「わっ!」 室内の灯りを受けてキラキラと輝く宝の数々がそこにあった。きみは我を忘れて宝石や金貨をポケットに詰め込んだ。 「そうだ! 肝心な物を忘れるとこだった……」 きみは祈りの女神像を両手でそっと掴むと、それをじっと見つめたまま、しばらく感慨に耽った。 「よくここまで来れたものだ……、夢じゃないだろうか……」 きみは女神像を懐に入れた。 部屋の奥には扉がもう一つあった。扉を開けると、眼下にロクスルーの野が見渡せた。もう夜が明けている。見下ろすと、下は険しい崖だ。 「仕方がない。ここにしか出口はなさそうだし……。女神よ、最後にもう一度この身を守りたまえ」 きみはもう一度懐から女神像を取り出してキスすると、あとは運を天に任せ、崖を滑り落ちて行った。 |