「ご名答!」 スフィンクスは大声を上げ、獅子の尻尾を振った。正解が好きなようだ。だが答を間違えた場合は……と考えると、きみはゾッとした。スフィンクスはまた言った。 「喜ぶのはまだ早い。もう一問残っているぞ」 きみはゆっくりと二枚目の麻布を手に取った。 |
数秘術の謎 2
「ここに並べてあるのは噂の『賢者の石』かね?」 「紛れもなく『賢者の石』だ」 確かに『賢者の石』には見えるが、石は5つ並んでいた。賢者の石は4つしかないということをバンコスは知っていた。この店の主は贋物を一つ混ぜて売っているようだ。 「これをもらおう。全部でいくらだ?」 「5つで金貨700枚」 店の主は言った。そこでバンコスは手持ちの金貨を数えてみたが、600枚しかなかった。そこで主に向かって言った。 「600に負けてくれないか」 「冗談言うな。うちは掛け値なしの定価売り専門だ。ビタ一文負けられないね。見てみろ、ちゃんと値札がついてるだろ」 なるほど石には値札がついていて、みんな値段が違っている。左から右に金10ずつ安くなっていくように値段をつけてある。5つの値段を合計してみると、確かに700になる。しかし4つなら手持ちの金で足りる。贋物は必要ない。 だが、賢者の石は4つ揃って初めてその効力を顕わすということだ。つまり4つとも本物を選ばなければならない。そこで知恵者のバンコスはしばらく思案した、何とか贋物を見分ける方法はないものかと。 「おい、主、賢者の石は5つもないということを、このわしが知らないとでも思っているのか? そんなあくどい商売をしていると、役所に訴えられて牢屋に放り込まれても知らんぞ」 と脅してみた。それを聞いた主は慌てて言った。 「そりゃそうだが、お上には黙っててくれないか、旦那」 「黙っててやってもいいが、本物がどれか教えろ」 バンコスは言ったが、主も簡単には教えようとしない。 「こっちも商売だ。あんたは自分の目で見て、欲しい物を買えばいい訳だし。そうじゃないかね?」 「ではこうしよう――3つだけ尋ねてもいいか? そのあとどの4つを買うか決めよう」 主はその条件を呑んだ。バンコスはとりあえず石を4つ選んで合計してみると、その金額は550だった。 「この4つの中に贋物は混じっているか?」 バンコスがさりげなく尋ねると、主もしたたか者で、 「ああ、混じってる。だけどそんな質問を3つもされちゃ、すぐにばれちまう。4つ選ぶのは、なしだ」 「いいだろう。では質問はあと2つ」 バンコスは石を元通りに戻すと、次の質問をした。 「仮に金貨270枚で石を2つだけ買うとすると、その2つの中に贋物が入っていることはあるだろうか?」 主はしばらく値札を睨んでから、やがて答えた。 「贋物が混じることもあるな。さあ、質問は残り1回だけだ」 「わかっている」 バンコスは石を右手に2つ、左手に1つ取った。金額を合計してみると、410だった。そして主に尋ねた。 「この3つの中には、まさか贋物は混じってないだろうな?」 主はバンコスの手にした3つの石の値札を見て、 「ああ、どれも本物だ」 苦々しげにそう言った。バンコスの右手にある2つの石の値段を合計してみると、280だった。 「それじゃあもう1つ頂いてくぜ」 バンコスはそう言って石をもう1つ左手で掴むと、 「つりはいらん。取っとけ」 主に向かって言い、金を置いて去って行った。 こうしてバンコスは本物の4つの賢者の石をアヴァンティナのもとに持ち帰ることができたのだった。 しかしバンコスが喜び勇んで4つの石をアヴァンティナに差し出すと、アヴァンティナは即座に石を彼に突き返した。 「3つしかないじゃないの」 「そんな馬鹿な!」 バンコスにはどうしても納得がいかなかった。そこで彼はどうやって本物と偽物を見分けたかをアヴァンティナに説いた。それを聞き終えると、アヴァンティナは微笑を浮かべて言った。 「確かにおまえの考え方は間違ってはいない。でもおまえは理屈だけですね。いつもおまえはそうです、理屈さえ合っていれば、全てが巧く行くと思い込んでいる。自分の知恵に溺れていますね。店の主が尋ねられたことには全て正直に答えるとでも思っていたのですか。もっと修業なさい」 バンコスは恥じ入ってアヴァンティナの前から退出すると、タウの町へと引き返して行った。 バンコスはどの4つを選んだのであろうか? おまえはバンコスが贋物だと思って残して行った石をこの中から選び取るがいい。少なくともそれは本物だとわかっているのだから――。 |
答
賢者の石 金??? |
賢者の石 金??? |
賢者の石 金??? |
賢者の石 金??? |
賢者の石 金??? |