牢に近づいて行くと、檻の中でうずくまっていた男がきみに気づいて鉄格子の所までにじり寄って来た。
「ああ、人間だ! 俺を助けに来てくれたのか!」
 男は歓喜の叫び声を上げたが、きみにはこの男を檻の中から出してやる手だてがない。きみは、「残念だが……」、とうなだれた。
「そうだろな……。一人じゃとても無理だ。早くこの迷路から抜け出して、人を集めてもう一度俺を助け出しに来てくれないか。これをあんたにやろう。きっとこのあと役に立つだろう」
 そう言って男は鉄格子の間から手を伸ばした。何か小さな板を持っている。きみはその板を受け取った。小さな板には訳のわからない文字が書かれている。

   [護符]を手に入れた。

「ゴブリン・ロードは魔法の武器がないと倒せない。あいつはゴブリンの魔法使いなんだ。もう一つ、この洞窟には恐ろしい怪物がいる。なんでもドラゴンをどこかの洞穴に閉じ込めてるって噂だ。だけどゴブリン・ロードはその怪物の洞穴に宝箱の鍵を置いていて、誰にも盗られないようにしているらしい。ドラゴン・スレーヤーさえあれば、怪物を倒すことができるかもしれないんだが……、何しろ謎の間を抜けないと手に入らないしな……」
 囚人は語った。いい情報を得たと、きみは男に礼を言った。
「早く仲間を連れて俺を助けに来てくれよ」
 きみは黙って頷くと、囚人に別れを告げた。


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