気がつくと、夕日が山の向こうに沈もうとしているのが見えた。きみは頭上を見上げた。岩山の崖に穴が空いている。あの高さから崖を転げ落ちたのかと思うと、ゾッとした。持ち物もみんなどこかへ行ってしまったようだ。ただ皮肉にも、『薬品庫修理中 危険』と書いた看板だけがきみの近くに落ちていた。

   持ち物も金も全て失う

きみはおもむろに立ち上がった。
「いててててて!」
 全身打撲とすり傷で痛くて堪らない。ここは一旦村に戻り、体調を整えてから出直すべきだろうときみは思った。
 村への道をとぼとぼと歩きながら、命があっただけでも幸運だった、この次はよく作戦を練ってから挑戦すべきだなと考えた。


村に戻る